デジタル活用で中小企業・組合の可能性を広げる

海老名市資源(協)|回収現場から報告・相談が可能に。ビジネスチャット×タイムスタンプ導入で業務負担軽減

資源回収事業を営む事業者が集まり、海老名市から委託を受けて家庭ごみの回収・運搬業務、選別作業を行っている事業協同組合。ごみの違反物(市で収集運搬や処分ができないもの)指導業務の課題解決のため、組合事務局と回収員(組合員企業の従業員)の連絡手段に「ビジネスチャット」と「スタンプカメラ」アプリを導入しました。

組合事務所の伊藤氏と渡辺氏。PCやデジタル化に詳しい伊藤氏の提案をきっかけに導入が進められました

【課題】①現場の報告精度の向上②回収員と組合事務所双方の業務負担の軽減

 ごみの回収業務を行っていると、市で収集運搬や処分できないものが家庭ごみとして出されてしまうケースがあります。回収員はそうしたごみを「違反物」として違反シールを貼り、回収業務終了後に組合事務所へ立ち寄って①違反物の種類②発見場所の報告をお願いしていました。組合事務所は各作業員から聞き取った報告を資料にまとめて市へ報告します。ところが100か所以上もの回収場所を回ったあとの報告ですから、回収員も違反物の発見場所を忘れてしまったり、報告された住所が誤っていたりと、正確な発見場所の特定に苦労することがありました。

  また、回収員が違反物かどうか判断に迷うことがあります。この場合には回収員の報告をもとに組合事務局が判断するわけですが、回収員の説明だけでは組合事務局も判断が難しいことがありました。報告時に現場の判断が誤っていた場合は、回収員が現場に戻って違反シールの貼り直しや回収の必要が出てくる等、負担になっていました。

【導入】「LINE WORKS」と「スタンプカメラ」を導入

 ごみの違反物指導業務をどうにか効率化できないか考えていたときに、ちょうど組合員で報告業務に「LINE」と撮影すると自動で撮影場所の住所・地図が写真に入る「スタンプカメラ」アプリを使っている話を聞いて、このやり方を参考に組合での導入を検討し、回収員と組合事務局との連絡手段に「LINE WORKS」のフリープランを導入しました。  LINEと違って管理者機能があるLINE WORKSは、管理者がメンバーの登録・削除や誰が既読済か把握できるので、未読者へのフォローがしやすく、業務に便利な機能が備わっていて使いやすいです。プライベート利用のLINEとビジネス利用のLINE WORKSとで分けて使える点も決め手でした。

【効果】組合業務の効率化と回収員の業務負担の軽減に

 最初は少ない人数から始めて、徐々に声がけしながらLINE WORKSの利用者を増やしていきました。回収員は違反物を撮影して写真をLINE WORKSで送るだけで報告が済みますし、回収員側で違反物の判断に迷ったときも写真付きLINE WORKSに相談が来るので、組合事務局で正確に素早い判断ができるようになって大幅に精度が上がりました。実際に利用している回収員からも好評です。報告のとりまとめも随時できるので組合の業務の効率化にも繋がりました。

 違反指導業務以外ではLINE WORKSの掲示板機能を活用して、組合からの連絡事項や資料を共有しています。以前はリーダーを通していた連絡事項もLINE WORKSを通じて回収員に直接情報を伝えられるようになりました。

【展望】回収員のLINE WORKS普及率を上げていく

 2022年の6月に取組を始めてから1年程が経った現在の普及率は30~40%ほどです。1回収車につき回収員2名体制なので、全回収車で2名のうちどちらかがLINE WORKSで連絡が取れるような体制になると理想ですね。使ってみると便利さに気が付いていただけるので、マニュアル整備や、組合事務局でアプリの導入や使い方をフォローして普及率が上がるよう取り組んでいきます。

海老名市資源協同組合

主な事業:家庭ごみの回収・運搬業務、選別作業

所在地:海老名市谷南五丁目7番27号

組合員数:6名(取材時)

●導入ITツール:LINE WORKS、タイムスタンプ

●導入・構築の費用:0円